スカートが嫌いだった
小さいころ私はズボンばかり履いていて、姉のピアノの発表会に着ていくワンピースを選ばなくちゃいけないのがすごく嫌でした。(結局ダダをこねてきかなかった)
絵具かばんの色は女の子はみんな赤で、男の子は青で、でも青がよかったから青にした。
なぜか旅行先で見たオオサンショウウオがすごく気に入ってまた見たいとしきりに言っていた記憶もある。
学校に通い始めると女の子と連れ立って女子トイレに行かないといけないのもすごく面倒だった。
ことあるごとになんで?どうして?そんなのヘンと聞かれることが多かったように思う、でも理由はよくわからなかった。ただそっちのほうが好きだった。
トクサツガガガという漫画を読んで面白いと思ったんですけど、それは自分によく似ていたからなんだとふと思いました。
母はふつうはね、という物言いを未だによくしていて、少し前までわたしもそれに倣うべきだと思っていて、でも好きなものを好きと言ってはいけないのは大変にしんどいと最近ちゃんと思えるようになりました。
姉は途中まできちんと則っていたんですけど、しんどかったんだろうなと今になって思います。
今はワンピースも好きだし、赤色も嫌いじゃないし、オオサンショウウオはいまでも好きで、あの頃はなにがそんなにと思っていたけど、目の前の人の顔から滲みだす「しなくちゃいけないという閉塞感」が苦手だったのだという答えがでました。
昔友達と話していたら「おばけと一緒で得体のしれないものはみんな怖いんだ」と言われたのを思い出します、目の前に迫るそれに名前がなくて相手に伝えられないから逃げられなかったんだな、とふと。
今はそれを組み立てて伝えられるようになって、ずいぶんと楽になった気がします。
何を好きでいてもいいし、好きでいる事をやめてもいいし、また好きになってもいいと考えていて、それがとても自由でいい事だと思えます。
父にその話をしたらそれが大人になるということだと言われて、そうかもねと思いました。